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人生の疲れを感じ始めた中原、会社勤めをしながら小説家をめざす村上。ある夜、小さな飲み屋で出会った二人に、ねじれた記憶と時間を巡る奇妙な現象が始まる−。 |
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戦前、戦後の大阪の街を舞台に、作者自身の体験を織りまぜながら描く眉村ワールドの傑作。日本文芸大賞受賞。 |
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| 昭和61年に角川文庫から出版された作品に著作者による加筆、訂正を加えて完全版として出版するものです。
ハードカバー版は100冊限定(シリアルナンバー付)、著作者のサイン入りです。 |
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眉村卓氏の「夕焼けの回転木馬」 |
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高橋良平 |
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「ぼくたちは、否応なしに社会の中に組み込まれて行きます。こちらがどうあろうとも、社会の方が求めるものが優先するのですから、何とかして適応するほかありません。せいぜいぼくたちに許されるのは、現代という時代の中に用意されたいろんな場のなかで、いちばん自分に合いそうなものを選択するぐらいです」 |
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自分のSFのテーマを“社会と個人の問題”と宣言した第一短編集「準B級市民」のあとがきの中でそう書いた著者は、その20年後に手がけた「夕焼けの回転木馬」では、「ぼくたちはやはり自分の立場上、何らかの決断をたえずしなければならない。ためらいながらでも、何かを選び何かを捨てなければならない」と述べている。社会に対する軸脚は変わらないものの、その“選択”によって“捨て去るもの”への感慨をこめ、個人の人生に、SF的な“もし〜だったら”を導入したのが本作である。 |
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| 著者自身の体験をベースに、現代物理学の量子論における多世界解釈に似たパラレル・ワールド(複数)に投げ込まれる主人公を描いた半自伝的なSF長篇には、「ぬばたまの…」「傾いた地平線」の2件があるが、集大成であう本作は、さらに凝った構成で、主人公は2人(作者を思わせる話者のエッセイ文をいれれば3人!)。生まれ故郷の大阪に単身赴任している中堅メーカー役員の中原と、小説家志願の平社員の村上。この2人が飲み屋で出会ったことにより、2人の世界は変転する。中原は過去へと遡行し、人生の岐路の数々を観察することになり、一方の村上は作家となる未来に向いながら、選択されなかった幾多の時間線からの妨害を受けるはめになる……。 | |||||
| こうした“別の現実”との遭遇は、当然のことながら、主人公それぞれにアイデンティティ・クライシスをもたらすのだが、それが逆に、自己発見の旅へと向かってゆくのが妙味で、解決されないSF的設定の謎も気にならないほど、重厚な思索を繰り広げている。 | |||||
| じつは、本作に結実している<社会=内 ム個人>の“決断”と“選択”、そこに横たわる“ためらい”こそが、数々の名作ジュヴナイルSFや100編を越すショート・ショートを書いてもいる眉村SFの本領であり、初期長篇から泉鏡花賞受賞の「消滅の光輪」や歴史改変SF「カルタゴの運命」まで、一貫したテーマなのである。 | |||||
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書籍データ: |
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