日本ミステリー界の巨匠・江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ第一作目を英語化。『怪人二十面相』は、日本文学において新しいジャンルを生み出し、多くの少年少女を魅了した作品である。
桃太郎、カチカチ山、舌切り雀、瘤取り、浦島さんなど、ある父親がむかしむかしの話を子どもたちに聞かせる太宰治の『お伽草子』。父親の身なりはみすぼらしく、賢そうには見えないが、話を作り上げることにおいては非凡な才能を持っていた。
むかしむかし、あるところに......奇妙な、鈍い声で絵本を読みあげると、父親の中で熱のこもった話が湧きあがってくる。
本書の新しいコレクションには、宮本輝の永遠のテーマが盛り込まれている。表裏一体となった生と死とは何か、生きる意思や、宿命といったテーマが、ユーモアを交えつつ、切々と語られ、形をもってくる。主人公たちは、過去や、他人との厳しい関係に気持ちの整理をつけようと必死にもがく。死、病気、喪失という辛い設定のなかでも、大きな喜びを感じ、望みをつなぐ。作家が描く悲劇さえも、ときに登場人物たち自身が前進する足掛かりとなる。宮本氏は子ども時代の記憶をベースに、世界的に有名な大阪・神戸の街を舞台として、見事な手法で何重にも深みのあるストーリーを展開する。
原作『紅楼夢の殺人』は、本格ミステリ・マスターズシリーズとして文芸春秋から出版。18世紀の中国の文豪・曹雪芹の『紅楼夢』をベースとしている。芦辺氏は、中国古典文学を用い、持ち前の文才で清朝末期の北京を舞台に怪奇な殺人事件を繰り広げる。中国、日本、英語圏へと場所が変わるたび、どのような趣向、工夫がほどこされるのか。今回の英訳は、文化的相違の観点からも興味深い一冊である。



