吉行淳之介短編集: Fair Dalliance

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Fair Dalliance: Fifteen Stories by Yoshiyuki Junnosuke

吉行淳之介


選定・編集
Lawrence ROGERS
序文: Donald RICHIE

短編の名手として名高い吉行淳之介の作品集。英語で一冊の本になれば、国内同様、海外でも必ずや受け入れられ、楽しめる一冊となるだろうという信念から生まれた。多作の小説家である吉行の作品は、短編や中編などの文学にとどまらず、随筆、翻訳、ライトノベルまで幅広い。死によって筆を折ることになる11年前の1983年に出版された全集は20巻にも及ぶ。この機会に、英語でもあますところなく伝わる独特な吉行の短編をお楽しみいただきたい。

New Writing in Japanの序文で、三島由紀夫はこう述べる。「吉行の言葉や感性に現れる繊細さは、戦後日本のどの作家よりもかすかで読みとりにくく、それでいて洗練されている。今日の日本の若者が持つ先入観――愛とは不可能で実行できない――が吉行の思考の根底にある」また、吉行の優雅な散文体は、不条理文学の代表者フランスのアルベール・カミュの文体を彷彿とさせ、ハーバード大学名誉教授・日本文学研究者のハワード・ヒベット氏はContemporary Japanese Literature: an Anthology of Fiction, Film and Other Writing Since 1945で「吉行の小説の表面ににじみ出るセンスや洗練さは、複雑で軽薄な、そして無益なこの世界を実によく表現する。辛辣な文体に宿る都会的な洗練さは称賛されるべきである」と賛辞をおくる。

目次

  • My Bed Is a Boat (寝台の舟)
  • Japanese Handball (手鞠)—Hiroko Igarashi共訳
  • On Houses (家屋について)
  • The Man Who Fired the Bath (風呂焚く男)
  • Perfume Bottles (香水瓶)—Hiroko Igarashi共訳
  • The Illusionist (手品師)
  • Hydrangeas (紫陽花)
  • I Ran Over a Cat (猫踏んじゃった)
  • Something Unexpected (不意の出来事)
  • Three Dreams (夢三つ)
  • Twins (雙生)
  • A Certain Married Couple (ある夫婦)—William Matsuda訳
  • The Flies (蠅)
  • The Battle of the Clays (粘土合戦)
  • Katsushika Ward (葛飾)

別段指定のない限りLawrence Rogers訳。



書籍データ

  • ページ数: xxiii + 179
  • 新書判 127mm x 203mm (5" x 8") 
  • ISBN: 978-4-902075-39-7
  • 黒田藩プレスID: FG-JP0029-L36
  • 定価: US$15.00
  • 表紙絵: 『経華 第四』 智内兄助

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著者:吉行淳之介(よしゆき じゅんのすけ)

1924年誕生。1945年東京大学英文科入学。1949年に最初の小説『薔薇販売人』を出版。1952年『原色の街』が芥川賞にノミネート。その他、芥川賞を受賞した『驟雨』や、文化庁芸術選奨で最優秀賞を受賞した『星と月は天の穴』などがある。1970年に発表され、谷崎潤一郎賞を受賞した『暗室』は、彼の作品中で初めて英語に翻訳された。吉行自身もヘンリー・ミラーのNights of Love and LaughterInsomnia or The Devil at Largeの翻訳をてがけた。


翻訳者

Lawrence Rogers (ローレンス・ロジャーズ)
ハワイ大学ヒロ校名誉教授。Tokyo Stories: A Literary Strollのアンソロジーを編纂。2004年コロンビア大学・ドナルド・キーン日本文化センター翻訳賞を受賞。

Hiroko Igarashi (五十嵐ひろ子)
ハワイ大学ヒロ校にて日本語を教える。

William Matsuda (ウィリアム マツダ)
ハワイ大学マノア校博士課程候補生。現在、京都でリサーチを行う。


序文: Donald Richie (ドナルド・リッチー)

作家。編集者。1947年アメリカの軍雑誌『パシフィック・スターズ・アンド・ストライプス』の映画評論家として来日。コロンビア大学卒業後、ジャパンタイムズの映画評論家として東京に戻る。1968年にはニューヨーク近代美術館の映画部門責任者を務め、のちに再び東京に戻り、以来東京在住。 タイム誌では「日本の芸術批評のボス」と評され、ジャパンタイムズの〝Asian Bookshelf〟を担当。鋭い切り口で書かれた多数の著作に、The Films of Akira Kurosawaや、A Hundred Years of Japanese Film: A Concise Historyなどがある。長年にわたる日本文学研究の集大成Japanese Literature Reviewed (2003)の評価は高く、J・トマス・リマー博士は序文で「日本文学のあらゆる面における観察と解説の宝庫である」と綴る。


表紙:智内兄助(ちない きょうすけ)

1948年愛媛に生まれる。1966年今治西高等学校卒業。東京芸術大学へ進学。1988年日本青年画家展賞、1991年安井賞など、数々のコンクールで受賞。1981年より、アメリカのクリーブランド・ビエンナーレ展や、上野の森美術館大賞展、安井賞展などのグループ展に出展。1983年からは由緒ある会場で個展を開催するなど、精力的に活動を続ける。2003年には東京セントラル美術館や、喜多方市美術館、久万美術館、なかた美術館での個展、2007年には高島屋や愛媛県美術館での個展を開き、25,000人が訪れた。2000年には、パリ支店を持つ〝ギャルリーためなが〟と契約し、2002年、2004年とパリで個展を開催、活動の舞台を世界に広げる。作品は、愛知、今治、埼玉、刈谷など国内の美術館のみならず、アリアン・ドゥ・ロスチャイルド男爵夫人の個人コレクションにも多数所蔵されている。本作の表紙は『経華 第四』より。

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